以前、『メンタルヘルス不調の方の職場復帰がうまくいくポイント①』で、職場復帰がうまくいくためのポイントの一つとして、正確な復帰判断を挙げました。「良くなってから復帰する」ことこそ最も大切、これは間違いないのですが、それだけで復帰がうまくいくのでしょうか。
実は、これだけではうまくいきません。復帰を試みる際は日常生活に支障を感じず、気力もある程度戻っていますが、仕事をし続けていたときに比べれば、仕事に必要な体力、対人関係の処理力、思考力、業務の持続力、ストレスの回復力など、様々な力が低下しています。
これは、からだの状態で考えてみれば分かりやすいことです。たとえばアスリートが骨を傷めて長期療養した際、療養中は練習できませんから、当然筋力が低下します。こころの状態も同じで、仕事をして維持していた様々な力が、長期療養すると低下するのです。
こうした状態のまま働いて心身に負荷をかけることは、筋力が低下したアスリートがいきなり本気で競技に取り組むようなもので、再度状態を悪くします。再療養に至った方の支援をしていると、こうした方が実に多いです。
それでは時短や軽減勤務で負荷を減らせば問題が解決するでしょうか。実は、それもおススメできません。慣らす意味でごく短期に行うのなら良いですが、長期に時短や軽減勤務をしないと仕事に耐えられないなら、そもそも「良くなっていない」のです。
こうしたことを防ぐために必要なのは、いわば「こころのリハビリ」です。適切な負荷をかけて回復を図る、そうした取り組みをすることで低下した機能をできるだけ取り戻す、そして復帰を図ることで、再療養が防げるのです。
医療機関の復職支援プログラムはこうしたことを体系的に行いますが、一部の医療機関しか実施しません。職場や本人に一任されているのが現状ですが、そもそも何が適切な負荷か評価し、具体的な取り組みを計画することは専門家の領域です。
こころのリハビリを適切に行うには、何よりもまず専門家に相談すべきです。当オフィスには復職支援の専門家がおり、何人もの復職を成功に導いています。療養中で復職に不安を覚えている方がおられたら、ご連絡ください。オンラインでも実施可能です。
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