強迫性障害をはじめ、さまざまな心の問題に「不安」の感情が関わっています。不安に悩まされている方は不安を悪者だと思い消してしまいたいと考えるかもしれません。しかし不安は決して悪者ではありません。なぜなら、不安には自分の身を守る警報(アラート)のような役割があるからです。ただ、そのアラートが誤作動を起こしてしまうと日常生活に支障をきたしてしまいます。
日本ではよく地震が起きますね。緊急地震速報はだいたい震度5弱以上の揺れを観測したときに発令されますが、実は微弱な地震まで含めると、関東だけでも1ヶ月に約2000回も地震が起こっているそうです。もしこの2000回もの微弱な揺れにまでアラートが鳴っていたらどうでしょうか?何が危険で、何が危険ではないのか区別ができずに結果としてアラートの意味が失われてしまいますね。
不安が問題になるのは、微弱な揺れにも毎回アラートが作動し、そのたびに避難行動をとってしまうような時です。1ヶ月に2000回ですから、1日に60回以上避難行動をすることになりますね。とても日常生活を送れる状態ではありません。
このように不安のアラートが誤作動を起こしてしまっている場合は、少しずつそれを正常にしていく必要があります。本当は危険ではないのに鳴ってしまうアラートの感度調整をしなくてはなりません。
不安のアラートが鳴っていても、実際は危険ではなかったということを経験することで徐々にアラートの感度は調整されていきます。ただその時は不安を抱きかかえながらも前に進んでいくことが必要になります。一人ではなかなか勇気が出ないと思いますが、カウンセラーと一緒に取り組むことでその一歩が踏み出しやすくなります。不安の悩みを抱えている方や子どもの不安に悩まされているご家族の方は是非一度ご相談にいらしてください。
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