DV(ドメスティックバイオレンス)と聞くと男性が配偶者である女性に対して暴言・暴力をふるうというイメージが強いのではないでしょうか?実際、今までに被害を経験した割合が女性の方が多いのは言うまでもありません。しかし、それは男性が被害を受けることは全くないというわけでもありません。
平成26年度から内閣府の男女共同参画局の調査では、過去1年以内に絞った被害経験の有無を調査をしています。男女ともに30%強の割合で被害を受けており、年によってはむしろ男性のほうが多く被害を経験しているという結果が出ています。このように、今ではDVの被害は男女どちらも経験しうる時代となっています。被害内容の内訳を見てみると、性的強要被害の割合は女性のほうが2倍以上多いですが、それ以外の身体的暴行・心理的攻撃・経済的圧迫の被害の割合は全て男性のほうが多く経験しています。
また、内閣府の調査によると女性に比べて男性は被害経験を誰か相談をすることが少なく、専門機関やカウンセリングともなるとその割合は1%未満と雀の涙ほどです。その理由としては「相談するほどのことではないと思ったから」というのが最も多いようです。元来男性は誰かに相談するということに慣れておりません。それは「男は精神的に強くあるべき」「男は誰かに依存せず一人で解決していくべき」というような「男らしさ」が誰かに相談することを邪魔してくるためです。男性のみなさんは小さいころ「男なんだから泣かないの!」「男がグチグチ言うんじゃない!」と言われた経験があるのではないでしょうか?
近年では「イクメン」という言葉が出てきたように、男性の家庭参加が求められています。これは、大切なことだと思います。しかし、一方で男性は仕事で成功して稼ぐべきという従来の役割も引き続き求められている風潮もあります。「男なのに定職につかないで…」「男なんだからしっかり家族を守ってよ」と言われた経験もあるのではないでしょうか。このように様々な男性役割を求められるところに、男性としての生きづらさがあると思います。
男性のメンタルヘルス不調の背景に、DV被害の影響や性役割に基づく生きづらさがある場合があります。そのようなときは、「男は弱音を吐いてはいけない」「男が相談するのは恥ずかしい」と考えずに、ぜひ、一度相談をしてみてください。
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