強迫性障害を持ったひきこもりの方は他の精神疾患を持ったひきこもりの方に比べて外出できない人が多いと言われています。これは不潔恐怖や確認強迫が外出を邪魔してくるためと考えられます。
もう一つ強迫傾向とひきこもり傾向には“あいまいさ”に対する苦手意識が関連しているとも言われています。“あいまいさ”とは手がかりの少ないはじめての状況や逆に手がかりが多すぎる複雑な状況、矛盾するものごとが同時にあるような状況のことを指します。こうした状況に対して、不安に感じやすかったり、否定的に考えたり、白黒はっきりさせようとしたりする傾向が強迫傾向ともひきこもり傾向とも関連があるようです。
人間だれしも、はっきりしない状態やグレーな状態というのは不快に感じやすいものですが、この世界は何でも白黒はっきりつけられるわけでもなければ、同じルールに沿ってものごとが進んでいるわけでもありません。そのため、自分なりのルールを作って強迫行動をしたり、“あいまいさ”に関わらなくて良いようにひきこもったりしますが、生活から“あいまいさ”が完全に排除されることはなく、これらの行動は早晩行き詰まることになるのです。
こうした行き詰まりから脱するためには、“あいまいさ”を許容することが大切ですが、“あいまいさ”を許容するのは簡単なことではありません。引きこもり状態にある強迫性障害の方は、“あいまいさ”の中に身を置いてみたり、あいまいなもの自体をじっくりと味わってみたりして、“あいまいさ”をそのままにしておく体験が大切ですが、本人は「あいまいさを排除したい」と反対の気持ちを抱えており、なかなかうまくはできないものです。
カウンセリングでは、無理なく“あいまいさ”への耐性がつくように、ともに作戦を立てて、支援をしていきます。“あいまいさ”が苦手な人は、自分の中のはっきりとしない気持ちや明確でない考えを話すことに抵抗感を抱きやすいです。そのため、相談すること自体にも苦手意識を持っている方も少なくありません。そのような方も、最初のうちは、戸惑いや不快感があるかもしれませんが、カウンセリングを継続していく中で、徐々に、あいまいな自分の考えや気持ちを表現できるようになっていきます。そうなると、不思議なのですが、その他の”あいまいさ”への耐性も上がっていき、強迫傾向がやわらぐ方も多くいます。
新型コロナウィルスに感染するかもしれないという、“あいまいさ”によって外出が困難になっている方も多くいらっしゃると思いますが、そのような場合は、オンライン相談もできますので、ぜひご利用していただければと思います。
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