不登校の子どもの中には発達障害を抱えている子どもも少なからずいます。心が疲弊してしまっている状態やクラスでいじめがあるような状況では、一度休息を取ったり、危険な状況から離れることは必要ですが、見守るだけでは状況が改善しないケースもあります。休ませて心が回復したら、自然に学校にいけるようになるかというとそうではないのです。
いじめなどの問題があれば解決する必要がありますが、ある程度先生が対応していたとしても、学校が怖い場所になってしまっている以上、登校動機がないと再び行きたいという気持ちにはならないでしょう。たいていのお子さんの場合は、「友達と会いたい」とか「学校行事に参加したい」という想いが登校動機につながります。
しかし、発達障害を抱えているお子さんの場合は、そもそも友達関係がうまく行っていなかったり、集団になじめなかったりしていることがあるため、友達関係や学校行事が登校動機になりづらいのです。しかも、家で「心を休めるため」と、自由にゲームをしたりYoutubeを見たりし続けると、家にいること自体が楽しくなってしまい、余計に学校に行く必要がなくなってしまいます。
ゲームやYoutubeは楽しいものですが、ある程度してくれば飽きたり、誰かと一緒にやりたいと思ったりするものです。しかし、発達障害のお子さんの場合は、そういった動機が起こりにくいだけではなく、没頭のしやすさや衝動性の高さ、こだわりから、よりゲームやYoutube視聴に依存しやすくなります。
「家で休息をすること」と「やりたいことを好き放題させること」は違います。世間一般に考えられている常識的な対応が通じないのが、発達障害特性を持ったお子さんです。発達障害のお子さんの場合、やりたいことを好き放題させてしまうと、ますます登校することの必要性を感じなくなり、不登校が改善しなくなってしまいます。そのため、不登校中の家での過ごし方やその後の学校復帰の目指し方、社会的な居場所を見つけていくことなどを検討していくことが必要です。親子で今後の生活について相談して、目標に向けて計画を実行していくことができれば大丈夫ですが、関係が悪化していたり、コミュニケーションのつまずきで、なかなか相談できる状態ではない場合も多いかと思います。子どもに相談に行くように促しても、拒否することもあるでしょう。そのような場合、お子さん本人がカウンセリング場面に来なくても、親御さんのみのカウンセリングでも、十分に改善を見込めます。親御さんがお子さんの発達特性を理解して、関係を改善しながら子どもをうまくガイダンスしていくことができるように、一緒に考えていきましょう。
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