ブログ | 子どもの強迫性障害、不登校を改善 東京都中央区

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2020.12.25大人の強迫性障害

お薬を飲んでも強迫性障害がよくならない場合の改善のヒント②

前回の記事(『お薬を飲んでも強迫性障害がよくならない場合の改善のヒント①』)は本人向けですが、周囲が強迫症状を悪化させる場合があります。例えば、子どもの洗浄強迫に対して子どもが汚いと感じているところを家族が拭く、衛生用品を買い与える、または確認強迫に対して繰り返し確認してあげる、「大丈夫だよ」と何度も言い安心させてあげるなど、家族が強迫行為(儀式行為)を代替します。何度も確認されるのが煩わしくてつい答えたり、用意しないと怒るので衛生用品を常備したりしますね。

しかし、このように家族が子どもの強迫行為の肩代わりをすると、お薬を飲んでいても強迫症状は消失しません。それどころか、ほぼ確実に悪化します。強迫症状をなくすためには、強迫観念によって生じる不快な感情を、強迫行為をせずに自然の経過で軽減していくことを体験することが必要です。家族が肩代わりをすると不快な感情が除かれ、結果的に自然の経過で軽減していくことを体験できないため、改善しないのです。

他にも、強迫観念や強迫行為のきっかけになる話題や行動を避けてもいけません。そうして話題や行動を避けると、一見して強迫症状は影を潜めますが、それはきっかけがないから強迫症状が現れないだけで、再度きっかけが生じると強迫症状が出てきます。

 強迫性障害が改善しない多くの場合で、肩代わり、不快を感じさせない配慮がみられますが、たいていの場合、家族や周囲の人は「よくないことだとは思う」と感じています。さらに、相談した専門家からは「やめてください」と言われています。これは正しい助言ですが、一方で、そのように助言されただけではほとんどの家族や周囲の人は肩代わりをやめられないのです。

 こうした場合は、家族や周囲の人へのカウンセリングが必須です。現実的に、自身にあったやり方で肩代わりや配慮をやめ、強迫症状に適切に向き合えるよう、援助者と一緒に改善の作戦を立てることが、確実に改善を早めます。このような場合には、当事者よりもまず先に、家族や周囲の方にご相談にいらしていただきたく思います。

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