検索エンジンで『大人の発達障害』と調べると、トップページには多くの精神科医療機関のページが掲載されます。まるで発達障害が精神科の治療対象であるかのようですが、多くの場合、発達障害は精神科の治療対象ではありません。
発達障害の方が精神科で治療をする必要があるのは、基本的にうつ病、適応障害など精神疾患やメンタルヘルス不調を呈したときです。そうしたときにはお薬を飲んでうつ病や適応障害の症状を改善してもらう必要があり、状態の程度によっては発達障害の特徴を弱めるお薬も出されます。
しかし、お薬を飲んで治療すると発達障害の特徴が消えるわけではないのです。たとえば指示を忘れやすい、色々なことを同時に行うことが苦手、課題が多くなると混乱するなど、このような特徴は発達障害でよく見られますが、お薬を飲んでも消えません。こうした特徴に対しては「どうしてそういうことが起きるのか、どうすれば良いのか」について明らかにしたり検討する必要がありますが、この部分はお医者さんの専門ではなく、ましてや治療の対象でもありません。心理士など発達障害の専門家が担う分野です。
ところが、自分は発達障害かもしれないと検索すると精神科医療のページばかりが表示されるため治療が必要ない状態にも関わらず受診し、「薬は必要ない」と言われてしまいます。本人からしたら、不全感はあるのに治療の対象とは言われず、しかし解決もしていないので、治療に期待をしていた分落胆してしまいます。
明確にメンタルヘルス不調を呈していないものの何となく生きづらいとか、色々とうまくいかないような場合は、まずは医師ではなくて心理士に相談し、可能なら発達検査を受けてみて自身の特徴をつかむことがとても大切です。特徴をつかむだけでも生きやすくなりますが、うまくいかない環境で「何がうまくいかない要因か、どうすれば良いのか」が具体的に浮かび上がりますので、より適応的に行動できるようになります。ご自身が発達障害かもと心配になっておられる方は、当オフィスにご連絡ください。
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